蝶番の固定不良によりドア枠を擦ってしまっていた親子タイプの玄関ドア交換
地震後に建付けが悪くなってしまったということでご相談をいただきました。
蝶番
が歪み鍵もかかりにくくなっていたとのことです。
今回お伺いしたお宅の玄関ドアです。建物の雰囲気や窓サッシ、雨樋の色と非常にマッチした、まさにお家と一体化したデザインで非常に調和が取れています。お客様としては玄関ドアの雰囲気は気に入っているが、日中の玄関がどうにも暗く、もう少し明るくできないかというご相談を無料点検にてお伺いしております。確かに写真でも分かるようによく日が当たる玄関で玄関の窓をもう少し大きくすれば、採光の大きな効果を得られるかもしれないという印象でした。また、現在親子ドアをお使いになっていますが、今後も自転車などの大きなものを通過させたいということで、今回も親子ドアへの交換をご希望されていました。ちなみにこの親子扉の小さいほうのドアは「子扉」と呼ばれますが、この子扉は使わない場合はロックができます。「フランス落とし」と呼ばれる固定方法で、ドア枠の上下2か所に受けの穴があって、上下の軸棒を穴に差し込むことでロックができます。また外すことでロック解除することができます。
既存の玄関ドアは開口部に歪みが生じて建付けが悪くなっていました。画像をご覧いただくとわかるように、ドア枠の上部分が擦れてしまっています。玄関ドアの建付けが悪くなる原因については様々です。
・蝶番の固定が甘くなっている
・扉自体が傾いている
・ドア枠の上下枠と左右枠の角度が直角でない
・ドア周りの床が平らでない
・建物自体が傾いている
・壁が床に対して垂直でない
等が考えられます。
今回のお宅は、蝶番の固定不良が見られ、こちらの蝶番には調整機能が付いていましたので、蝶番の調整でこの建付けの歪みは直せる可能性はございますが、ドア本体の上部が削られて、ドア自体も古いものだからいっその事丸ごと交換してしまいたいとのご希望でした。ちなみに、今回のお宅のようにドア本体が上部分で擦れる場合は、下側の丁番を調整する事で直る可能性がございます。こういった作業はネジ調整を行うことでできますが、無理に回したりしてしまうとネジ穴が潰れてしまいますので充分ご注意ください。もし、自分での調整に不安を持たれる方は是非業者にご相談下さいね。
もはやこの玄関ドア工事業界で知らない人はいない工法、「カバー工法」にて施工を行います。基本的にどのドアタイプでもやり方は変わりません。お客様の家に元々あったドア枠の上から新しいドア枠をカバーしてはめ込んでいく工法です。開口部が若干小さくなりますが、最大で四方5cm程度ずつですので使用感は既存のものと変わりません。このカバー工法登場前まで行われていた施工はこの既存の枠も解体して行うもので、壁や床を壊す必要があり、大変労力と時間を要していました。その点カバー工法ならまわりの壁や床を工事する事なく、玄関を新しくすることができるので、工期や費用の面でも大変リーズナブルに工事が行えるのです。このカバー工法施工の第一歩として既存の玄関ドアや付属したパーツを外して、ドア枠だけの状態にしていきます。
既存のドア枠の内側に新しいドア枠を取り付けていきます。この枠は「内額縁」と呼ばれるものです。画像をご覧になって器具を使っているのがお分かりになるでしょうか。これは新潟精機という会社から出ているアルミニウム製品で「アルミ水平器」というものです。水平・垂直が測定でき、見やすいように両面に目盛りが付いています。こちらの器具を使って内額縁が上下左右で水平・垂直になるように調整をしていきます。もし、ここで水平・垂直にならずに施工を進めてしまうと、今回の症状と同じようにドア枠にドア本体を擦ってしまう「建付けの悪い状態」になってしまいますので、1mmの狂いもなく、正確に作業を行う必要があります。
まずは新しい玄関ドアを仮に吊り込んでいきます。この「吊り込む」とは今回問題のあった「蝶番」によって吊るという意味でこういう表現を使います。基本的に街の玄関ドアやさんでは工事中のお立会いをしていただいていますが、この時点で新しいドアが入った景観のほぼ完成形が見られる訳ですね。ここで開閉テストや歪みなどの調整を行います。こちらの作業後、既存の玄関ドアと新しい内額縁をビスで固定します。
既存枠と内額縁の間は、このままですと隙間が空いているので心もとないと思う方もいらっしゃると思いますが、この隙間にはコーキング剤を厳重に埋め込みます。「見た目があまり良くない」と感じるかもしれませんが、この部分は後の工程でカバーをしてしまいますので、ここは厚めにコーキング剤を入れていきます。
先程の厚く塗ったコーキングはこの工程で隠します。このカバーは「外額縁」というものでドアの一番外側に付けます。この工程でもサイズを測りながら、現場でカットをして調整します。
■この工程でもコーキングを行います先程と同じように今度は外額縁と外壁の接するところも小さな隙間が空いています。この部分もコーキング剤で埋めていきますが、この部分のコーキングは常に外に露出する部分なので外壁と馴染むように似た色のコーキング材を使って仕上げていきます。
最後の微調整をして、完工です!
工事開始から5時間程で施工が完了いたしました。新しいドアはYKK APのPRD S03という製品です。色はカームブラックで既存の外壁との相性もバッチリです。ハンドルはプッシュプルグリップ上で前回と同じような仕様です。今回使用している鍵も同じくダブル錠ですが、今回は「ディンプルキー」を採用していただいています。ディンプルキーとは表面にくぼみ(ディンプル)がある鍵のことで、普通の鍵と比べて防犯性がかなり高くなっています。普通の鍵の時と比べて内部の構造が複雑になっており、従来のピッキングではまず開けることは不可能です。またシリンダー本体も昔より強化されており、ドリルなどによる破壊にも耐性があります。
また、今回の玄関ドアはスリット採光が前回のドアより大きくとってあります。「玄関が明るくなった!」と言っていただき、非常にありがたいお言葉をいただきました。
今回のお宅のように日中でも暗くなってしまう玄関ドアはカビが生えやすくなり、気分も落ち込んでしまいます。同じようなお悩みをお抱えの方は是非、玄関ドアの交換をご検討くださいね。お気軽にご相談を受付ております。